印傳屋(いんでんや)は、鹿革に漆で文様を施した甲州印伝の製品を製造しているブランドです。その製造起源ははるか昔にさかのぼります。17世紀に東インド会社から輸入したものの中に美しく装飾された鹿革があり、ここから印伝の名がついたと言われます。江戸時代の職人上原勇七が鹿革に漆で文様を施す特殊な技術をあみだしたことが、現在の甲州印伝の原型となっています。甲州印伝の技術で生み出された製品は当時から多くの人々に愛され、江戸の街ではキセル入れや巾着などといった粋なアイテムとして認められていました。しかし幕末を迎えると、時代の流れで甲州印伝を作り出せるのは印傳屋だけとなりました。現在ではその加工技術は当主である十三代目勇七に口伝で伝えられています。こうして脈々と受け継がれた技術とブランドは、古き良き時代からのすばらしい伝統文化の産物であるという枠を脱し、未来に恒久的に受け継いでいくべきものとして1987年からは経済産業大臣指定の伝統工芸品に認定されています。